とてつもなくエモーショナルな体験だった。
昨夜23時頃、私は露天風呂にいた。
場所は三重県の伊勢志摩だ。
空を見やると、割と低い位置に下弦の月があった。
実際には、この写真とは色味が逆なんだけどね。縁側が濃い山吹色だった。
(写真はインターネットより拝借)
伊勢湾の小さな入江に波がぶつかり海が音楽を奏で、そしてそこに月があった。星もダンスをしていた。
客は私の他にはおらず、ただ潮の音を聴き月を眺めていた。
今日は伊勢神宮を詣でたのだが、何故かいつもより葉々の囁きが気になり、風の動向にも注意が向いた。気がついたら内宮を2周していた。
もっとこの場所を感じたい………心からそう思ったんだよね。
話しは戻って「月」だ。
その風呂には「釜風呂」というものがあり、温度は30℃あるかないかの緩さ。永遠に入ってられると思った。
その大きな下弦の月から何故か目をそらすことが出来なかった。
あっという間に、その月は山裾まで迫っており息を呑むようなスピードで山蔭に沈んでいった。
「月が沈む」という現象を初めて見て、何故だか感情が揺れた。
大切なものを喪った時の気持ちに似てとても不安になったし、感動してしまった。
天文学的知識の薄いわたしは風呂から上がり、直ぐに「月の見え方」について調べた。
事実だけ言えば、地球は自転し月は公転しているのだから月が見えなくなる時間帯が出るのはわかる。
けれど、けれど……。
今日の今日まで「月は夜空に浮かんでいるもの」と思い込んでいたので、やけに驚いてしまったのだ。
どうしてもこの感情を記しておきたかったから、備忘録としてここに残しておくことにする。
今宵は桑田佳祐の「月」や、玉置浩二と絢香が歌った「三日月」などを聴いて、しっとりと涙した。
それにしても……伊勢海老のお造りは旨い(笑)!